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マイナスセブンデイズ .50
 十四時を過ぎたばかりだった。呼び出し音を三十回数えて真希は携帯電話を置いた。姉は出なかった。それが自分にとって最後の手段であったかの様に、真希は途方に暮れた。日当たりの悪い部屋の窓を、午後の強い風が揺らしていた。カタ、コトッと鳴る軋みに耳を委ねていた。その音に紛れ、突如彼女の携帯が振動した為、気を緩めていた体がビクリと強張った。ディスプレイを見た。姉からの折り返しだった。表示される名前を見ただけで、煩わしい事が全て取り除かれた後の様に錯覚した。
 夕方になり茅島が戻ってきた。靴を脱ぎ散らし部屋に入るなり寝転がって、小脇に抱えていた週刊マンガを読み始めた。何も言わずにこういう態度を示すのはパチスロの負けが込んでいるからだ。今は妊娠の事を男には告げるまいと決めた。電話口で姉が強く言っていた様には、なかなか踏ん切りが着かないのだった。男とのいきさつについては何も説明はしなかったが、妊娠の事を伝えると血相の変わった様がはっきりと分かる怒った声で、絶対に責任を取らせろ、と姉は言ったのだった。堕ろすのは体に負担が掛かるから止めろ、と言った。そして妹である真希の事を気遣ったのだった。携帯電話を通して聞こえる姉のはっきりとした滑舌は、まるで様々な応答に対する様、予め録音されているテープ音声の風にも聞こえた。自分は姉の口を通して、自分の考えを聞きたいだけだと思った。それでも姉は、真希の知る誰よりも優しいのだった。自分では分からずにいる真希自身の在る意味の事を、姉は気付かせてくれるのだった。茅島が起き上がり「メシは?」と口を開いた。「今から用意するんやけど」とだけ真希は答えた。
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